「ちょっ……ルキ‼なんで防衛魔法をっ…⁉早く張り直さなきゃ殺されちゃうよっ!やっぱり私が防衛魔法をっ……」
「敵を貫け、岩よ」
言い終わらないうちにルキの冷静な声が重ねられる。
ルキがさっと身をかがめ、地面に両手をついたその時だった。
大蛇が「ギィィーッ」と叫ぶように鳴きながら、口から赤い閃光を私とルキに向かって放たれた。
風を裂くように真っ直ぐに飛んでくる赤い閃光。
もうだめだ、とルキの背中にぎゅっとしがみつく。
するとルキの地面についた両手がほんの一瞬、目が眩むほどの強い光りを放った。
「あっ……ルキっ⁉なにをっ⁉」
カタカタと微弱な地震のような振動を感じたすぐあと、地面を突き破っていきなり目の前に現れたのは見上げるほど大きな石筍だった。
「なっ……なにこれっ⁉地面から大きな針のような岩がたくさんっ⁉」
大蛇が口から放出した閃光は、間一髪のところで石筍にあたり、反射して夜空へ吸い込まれるようにして消えてゆく。
良かった…あの閃光を浴びていたら絶対に死んでたな。
と息をつく暇もなく、先端を鋭く尖らせた石筍が次々と地面を突き破って現れる。
まるで剣山のような石筍は、容赦なく大蛇に襲いかかる。
大蛇の頭にひとつ、胴体に5つと突き破るようにして現れ、その巨体を串刺しにして宙へと浮かび上がらせた。
合計6つもの巨大な石筍に身体を貫かれた大蛇は、そこで力つきたのか、黒煙となって私たちの前から姿を消した。


