こうなったら……ルキが防衛魔法を張ってくれている間に、私が横から攻撃を仕掛けるしかないか。
防衛魔法を張りながら別の魔法を使うなんて、いくらルキでもそんな高度なあわせ技は使えないだろう。
「ルキ……私も一緒に戦う」
怖がっている場合じゃない。
防衛魔法が壊されないうちにやらなきゃ。
小刻みに震える右手を大蛇に向かって伸ばした。
するとルキが振り返り、私の手首を掴むと強引に手をおろされた。
「ほんっとにメイベルは心配症だなぁ。大丈夫だって何度も言ってるだろう?」
「でもっ…‼このままだとバリアが持たないよ‼早く攻撃を仕掛けなきゃ!」
「そのつもりだよ。だからこうして、防衛魔法で身を守りながら魔力を高めているんだよ」
大蛇がまた「ギィィーッ」と叫ぶように鳴き、防衛魔法に噛み付いた瞬間、ピキッという音と同時に壁にいくつもの亀裂が入った。
「ルキぃぃぃぃっ……‼防衛魔法がっ!」
大蛇はこれはチャンスとばかりに、光線でも放つつもりなのか大きく開いた口を光らせはじめた。
大蛇が放つ咆哮を浴びれば、間違いなく防衛魔法が壊れてしまう。
そうなればもう、私とルキは灰と化すだろう。
「うん、そうだね。そろそろ防衛魔法がもたないね。思ったとおりの手強さだな」
ルキはそんなことを言いながら、ルキと私を守ってくれていたボロボロの防衛魔法を自らの手で消し去った。


