「ぎゃーっはっはっは‼おい聞いたかよトールボット、ぶふぅぅっだってよ‼」

「あのメイベルの顔っ……びっしゃびしゃじゃん!これは傑作だな、ライザ!」



顔面から水を受けてしまった私の前に現れたのは、腹を抱えて笑うライザとトールボットだ。



しまった、またライザにやられた。

頭からコップに入った水をかけられる、というイタズラはもう過去にも何十回とされてきたことだというのに。

いつも私は背後から忍び寄るコップと、影で私を笑うライザの視線に気付くことができないんだ。



「ほんっとに最低っ……!」



びしょびしょなのは顔や前髪だけでは済まされなくて、白いブラウスまでしっかりと濡れている。

黒いスカートに至っては、少し滴が飛んだだけで済んだことが不幸中の幸いだけれど…。



ライザをキッと睨みつけて、私なりにささやかな反撃をしてみる。

けれどライザはニヤニヤと馬鹿にしたような笑顔を崩すことはなく、怒りに身を震わせている私の目の前まで来てようやく足を止めた。



「気付かないお前が悪いんだろ、万年最下位。転校生に色目なんかつかってんじゃねぇよ」

「別にっ!色目なんかっ……‼」



もしかしてよりによってライザなんかに、私がルキの耳に両手を添えて話した瞬間を見られてしまった?