へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする



「メイベル、あの人だかりは何?」



パスタ屋さんの目の前まで来て、さぁ中に入ろうというところで、後ろにいたルキに引き止められた。

「人だかり?」と聞き返しながらルキを振り返り、その視線を辿ってみると『占い館』という小さなお店に行きついた。



「あぁ、魔女のジェニファーさんのお店だよ。魔法をつかって、未来をみてくれるの。今日も相変わらずすごい人だなぁ」



ジェニファーさんは、私には年齢は非公開だって言っていたけど、レックスさんが同級生だって洩らしていたから歳はたぶん20代半ばくらい。

肌がちょっと黒くて、胸下まである長い黒髪がウェーブがかっていて、いつも胸元が見えるようなセクシーな服装の、気のいいお姉さんだ。



私もいつかジェニファーさんに、魔法をつかって未来を見てほしいって思っているんだけど。

占い料金は2万5千円となかなか高くて、未だに実現できないんだよね…。



「あっ、そうだ!ジェニファーさんってね、人の未来を見れるんだけど、もしかしたら過去を見れたりしないかなぁ?ねぇルキ、ジェニファーさんに聞いてみようよ!」



我ながらいいアイデア!

ジェニファーさんにルキの過去を見てもらうことができたら、聞き込みなんてしなくてもルキの素性が明らかになるじゃんか。



ルキは「うん、わかった」と頷くと、斜向かいにある占い館に走り出した私の後を追いかけてきた。