「あっ、もう8時15分だっ!ヤバイそろそろ行かなきゃ!バスが35分に来るのっ」

「ハイハイ、行ってらっしゃーい。また惚気話聞かせてよね」



エイミーにアドバイスを受けたとおり真っ白なレース素材の膝丈ワンピースに着替え、赤いパンプスを履くと慌てて部屋を飛び出した。



「おはよう、メイベル。そんなに息を切らせて大丈夫?」



フォルスティア学園の校門の前につくと付近にあるバス停の前には、黒色の長袖カッターシャツに細身なシルエットのジーンズを履いたルキがいた。



わぁ……すごく大人っぽくってかっこいい。

何を着ても似合うなぁ、なんて数秒の間ぼーっと見惚れてしまうほど素敵すぎる。



「おーい、メイベル?」

「はっ‼あっ、ごめん!ちょっとぼーっとしてたっ!そんなことよりも遅くなってごめんねっ。良かった、ギリギリ間に合ったみたい」

「ははは、本当にギリギリだね。バスが来る2分前だよ。もしかして寝坊しちゃった?」

「いやいや……せっかく出かけるんだから、どうせなら可愛い格好で行きたくて。服を選ぶのに時間が…」



可愛い服を選ぶのに時間がかかった、と言いかけたところで「やっぱりなんでもない‼」と、慌てて口をつぐんだ。

そんなことを言ってしまえば、ルキに対する好意がバレてしまうっ!



熱を持ちはじめた顔をルキから即座に背けると「だから今日はいつもと雰囲気が違うのか」と、くすくす笑うルキの声が後ろから聞こえた。

さらには「うん、可愛い」という嘘のような言葉も飛び出してきたもんだから、カッとマグマのように熱くなった顔で後ろを振り返ることができなかった。