へなちょこ魔女は、ぎんいろの瞳に恋をする



「そんなことないよ…。ルキのことを呼び捨てにしているのは、私がルキっていう呼び名を……じゃなかった。えっと…」



突然、聞かれたくないことを聞かれてしまうと、咄嗟に誤魔化せないのが私の悪いところだ。

不自然じゃない言い訳を、と思えば思うほど焦りばかりが増してしまって、おかしなことを口走ってしまう。



「なによ、珍しく積極的にアピールしてるじゃないのよ。もしかしてメイベル、あんたまさか、ルキくんのこと好きなの?」



カーラの咎めるような鋭い目つきに射抜かれた私は、「あー…いやぁ、そのぉ」としか言葉が返せない。



「なんとか答えなさいよ」

「うん……えっと。そのぉ…」



好き……なんて言えば、カーラはきっと激昂する。

だったらみすみす、ケンカの種になるようなことはしたくない。



……って、今はカーラと話している場合なんかじゃないのに。

こんなことをしている間にも、ルキはライザが待つ第一実技室に向かっているんだ。

決闘がはじまってしまう。



「うんっ、ごめんカーラ‼その話しはまた今度でっ‼」



逃げたりなんかすれば、反感を買ってしまうことはわかっていた。

それでも私はカーラに背を向け、全速力で廊下を駆け抜けた。



「ちょっとメイベルっ‼まだ話しは終わってないのよ‼」



遠ざかる第二実技室に向かって「ごめんカーラ‼」と叫んでみたものの、その声が届いたのかどうかは返事がないから分からなかった。