「その銀色の魔獣は特別な魔獣だったからな。高すぎる魔力でつくったからか、その完成度があまりにも高すぎた。人間のような感情もあれば、言葉を話せたんだ」

「えっ⁉魔獣が話せるって⁉」



そんなことって見たこともなければ、聞いたこともない。



モデムを読んでいれば、かわいい少女のような姿をした魔獣をつくりだす魔法使いもいるけれど。

「さすがに人間のようには話せないか」という創作主からのコメントが書かれていたことがあった。



いくらその姿が命ある生き物のように見えても、所詮は魔力の塊。

魂のないロボットのようなものだから、人間のように話せたり、感情があったり、自分の意思があるはずがない。

いつだって創作主に忠実でいてくれるからこそ、その裏に愛がないことが悲しいよねって書かれていたことをよく覚えていた。



「だからといって、特に不満を口にするようなことはなかったんだけどな。きっと俺が出した命令に嫌々従っていたんだろうな。嫌気がさしたんだろ」



すかさず「どんな命令を出していたの?」と聞き返すとレックスさんは「まぁ、画家である俺の助手とかかな」と咳払いをしながら答えてくれた。