バレー部では男女別に活動しているから、部活中に話すことはないけれど、あたしはずっと陽介を目で追っていた。


スパイクを打つときのフォームがとてもきれい。

ボールをまっすぐ捉えた真剣な目元や、Tシャツの裾からのぞいた腕の筋肉。


そして、あたしはあんなに高く飛ぶことができない。


床を強く打ち付けるボールの音があたし達のコートまで聞こえてくると、ほんの一瞬だけ、時間が止まったんじゃないかって思ってしまう。


教室での陽介と部活中の陽介。

それぞれの場所で彼の表情が違うことに気づいているのが、どうかあたしだけであってほしい。