好きな人のはなし

⑦「ギリセーフ…!!」

 ホントにギリギリだった…。

 教室に着いたと同時にチャイムが鳴るんだもん。

 化粧もしてない、髪の毛もセットしてない、女子力ゼロだわ…。

 今日はツイてないな…。



 結局ぼーっとして午前が終わった。

 「あ~お腹減った!志帆ご飯食べよ〜」

 朝から何も食べてなかったから死ぬかと思った…。

 私はカバンの中から弁当を取り出そうとした。

 …あれ?

 「ない…」

 「なにが?」

 「弁当が!!!」

 最悪中の最悪!!!今日に限って弁当忘れるなんて…!!

 「…購買行ってくれば?」

 「…今日購買休みなの…」

 あぁ…泣きたい。ってか泣きそう…。

 「あんた…やらかしたね」

 志帆はやれやれと肩を落とした。



 「木下琥珀さんはいませんかー!」

 突然、教室の外から誰かが叫んで教室が静まり返った。

 「ハル!?」

 ハルだった。しかもめっちゃ笑顔。