好きな人のはなし


 ⑤私は渋々と風呂から上がり、着替えていると着信音が鳴った。

 志帆だ。

 「もしもし?どうしたの?」

 『あのさー、カラオケの件だけど、行ってもいいよ』

 え?

 「嫌だって言ってたのに?無理してるならいいのに…」

 『いやー、よく考えたらあんたひとりで行かせるの危険かなって思ってさ』

 いったいどうやって心変わりしたんだか…

 『あ、でも、ジュースは1週間奢ってよね』

 「えーー!結局それ目的なんじゃん!」

 志帆らしいっちゃ志帆らしいけどね…ははっ。

 『まぁ水曜日じゃなきゃ部活で行けなかったけどね』

 …ん??

 「ねぇ、水曜日に行くの?」

 『え?聞いてないの?…あ、ごめん!忙しいからまた明日!』

 プーッ、プーッ、プーッ…

 いやいや、志帆さん、あんたは誰から聞いたんだよ!