⑩ハルは少し驚いた顔をした。
「あははっ、そっか」
なんか…
思ってた反応と違うんだけどな。
「そういえば、何でハルはここにいるの?ハルも喉乾いたの?」
「いや、俺はー」
「ここにいたー!」
ハルが言いかけてた言葉を打ち消すように誰かが叫んだ。
振り向くとそこには、見覚えのある女の子が走ってきた。
「西野!」
ああ…ハルの事"ハルちゃん"って呼んでるあの西野さんか。
西野さんは息を切らしながらハルに近づく。
「もう!探したんだよ?」
誰にでも分かるような上目遣い。
「俺になんか用?」
ハルは少し困った顔をして笑った。
「あるから探したんじゃーん」
私は目を見開いた。
だって、
この子、この状況下でハルの腕を引っ張って連れて行こうとしてるから。

