次の日の朝、普段から遅刻気味の私は1時間も早く家を出た。
とにかく宏太に話さなきゃ、その一心でしかなかった。昨日の情景が頭の周りをぐるぐる回り、心がズシッと重かった。
教室に着いてもまだ誰も来ていない。誰もいないのにずっとヒヤヒヤしている自分がいた。ハル…ずっと前から気づいていたんだ。誰にも言った事なかったし、言えるはずもなかったけど、1番気づかれちゃいけない相手だったというのに…。
「なに朝っぱらから落ちてんだよ」
ドキッと心臓が動いた。後ろを振り返ると、宏太が扉にもたれ掛かっていた。
「で、これは何の呼び出なの?」
私は宏太を連れてほとんど使われていない東校舎の空き教室へと移動した。
「ハルに浮気してた事バレた」
私の心情とは裏腹に宏太はあまり驚いていない様子だった。
「でも相手が宏太だって事はバレてないと思う」
窓に寄りかかる宏太。
「まぁそりゃバレたらね…俺だって何かと困るよ」
「うん…」
俯く私の頭を宏太はクシャっと撫でる。
「琥珀、しばらく会うのやめよう」
え…
「…どうして?まだ宏太だって事はバレてないし、私がもっと気をつければいい話じゃん!」
私は思わず声を荒げた。
「琥珀」
なんで…どうしてそんな顔するの…。
「…バレるのは時間の問題だ。俺だってそんなポーカーフェイス出来ないし、友達裏切ってた事には変わりなかったから」
淡々と話す宏太に私はイラッとした。

