「ねぇ、私って幸せなのかな」

 「けほっ、けほっ!…ちょっとなに急に」

 弁当を食べていた箸が止まり、向かい合って座っていた志帆がむせた。

 「あぁ、ごめん!大丈夫?」

 志帆は水筒に入ったお茶を一口飲み一呼吸してから口を開いた。

 「何かあったの?ハルくんと」

 そりゃとんでもない事を私はしている訳でして…。実は私、彼氏がいるのに他の男と関係持ってます!!…って、言えるわけない。

 危ない。
 一瞬、志帆になら話してもいいかなとか思っちゃった。
 
 「ごめん、ちょっとトイレ行ってくる」
 
 私はそう言って席を立ち教室を出た。

 廊下に出ると、ハルがいた。

 「ハルー、何して…」

 ハル、誰かと話してる?相手までは分からないけど誰だろう。
 
 ここ最近のハルは何か違う。今までは、付き合いたての頃に比べればお互い気持ちが落ち着いていたし、これといって惚れ直すとかなかったんじゃないかなって思う。ありきたりの日常をありきたりに過ごしていた。つまらないとか思わないでほしい。私にはこの日常が心地良かったのだから。

 けれど最近のハルというと、うまく言えないけど、丸くなった気がする。普段から角があったわけではないけれど、今まではそんな事なかったのにメールや電話をこっちからするとすぐに反応してくれるし、学校でもかなりスキンシップが増えた。けれど、時折見せる切ない顔は私の中で大きく引っかかっていた。もしかしたら…と考えている自分に焦りを感じる。
 バレてはいけない、バレないように続けなきゃ…。