交わらない視線

もうすぐで後ろのドアを通り過ぎる。

後ろのドアの間、彼はずっと姫凪を見つめる。

きっと、彼の目は私と同じ目。

愛しい人を見つめる目。

あー、羨ましい。

何で私を見ないんだろう。

姫凪は何も気づかずに笑っている。

こんな無邪気な笑顔、私には作れない。

「いいな・・・」

ボソリと呟いた言葉に姫凪は首を傾げる。

キョトンとした姫凪の顔につい吹き出してしまう。

どんなに私が彼を好きでも。

どんなに彼が姫凪を好きでも。

私は姫凪を恨めないし、憎めない。

私は福井君もだけど、姫凪の事も大好きだから。