「愛ちゃん…。

もう、自分を苦しみから解放して幸せになろう。」



「でも、幸せって何?」



「それは、俺が時間をかけてでも教える。


だから、生きるんだよ。


何があっても、生きようと頑張るんだよ。


愛、約束して。


苦しかったら、俺を頼ってほしい。


辛かったら、我慢しないで泣いていい。


でも、それは俺にちゃんと教えて。」





「え?」





「どんな時でも、俺は愛ちゃんの全てを受け止める。

俺は、愛ちゃんを守りたいんだ。

愛ちゃんの学校に呼ばれてから、考えていた。

考えていたというより、身体が勝手に動いていた。

今も、考えるよりも先に身体が勝手に動いているんだ。

俺は、もしかしたらここに呼ばれてきたのは何かの運命なのかもしれないって思ってる。

こんなに、誰かを思って行動するなんて自分でも驚いているんだ。

もしかしたら、これが俺の本能なのかもしれない。」




「先生は、この学校に来るのに迷ったりしなかったの?」





「迷いなんて、1つもなかった。


ただ、愛ちゃんと出会ったその日からこの思いは強くなっていったんだ。


愛ちゃんの通う学校に来たのも、身体が勝手に動いていたのかもしれないな。」






そう言って、先生は優しく微笑んでから私の頭を撫でた。





「…そっか。」





「愛ちゃん、疲れたかな?」





「少しだけ。

こんなにたくさん泣いたの、産まれた時以来な気がする。」





誰かに感情を出すことがこんなにも大変だなんて知らなかった。





泣くことが、こんなにも疲れるなんて…。





「じゃあ、今日はもう寝ようか。


俺も、今日はここにいるから。」





「はい。」




「おやすみ。」




「おやすみなさい。」




目を閉じた瞬間、私はすぐに眠りにつくことができた。