ーside愛ー





先生の言葉に、私は忘れていた思いがこみ上げてきた。





いつも、冷静でいよう。






そう思ってた。




あの日から、ずっと自分言い聞かせていた。





冷静さを失わない。



感情を表に出したらいけない。






けど…。





「…私にそんな日は来ることはない。


絶対に来ないし、来てはいけない。


絶対、分かったらいけない。


私は、幸せになったらだめなの。」




『幸せなったらいけない人間なんていない。』




そんなの、私には関係ない。






それに、昔母にも言われたっけ。





『お前は、希のために産んでやったのに役立たず!』





涙を流しながら、私に手を上げたあの日の記憶は忘れることができない。






いつもいつも、夢にまで出てくる。





あの日の母親の表情に、一筋の涙を流して亡くなった希。






あの日から、母親も父親も頭がおかしくなって行った。





希の骨を見て、あの人は食べようとしていた。





これは、私の魂でもあるの。





そう言葉にしていた。




それから、親戚みんなが私のことを睨んでいたんだっけ。




その日、私は確かに実感した。





私は、本当にこの人の娘ではないんだと。





そして家族ではないんだと。





「愛ちゃん…。」







私は、もう1度深呼吸をした。






「検査お願いします。


心の準備、ちゃんとできました。」







「分かった。」