ーside愛ー



「愛ちゃん…。

今日は、疲れただろうからゆっくり眠りな。

俺も、今日はここにいるから。」






「いいよ…ここにいなくて。」






「何かあったら、心配だから。

今日だけでも、ここにいさせて。」





この人に歯向かう気力も残ってなくて、怒る体力もなかった。





私は、素直に頷いた。




疲れて話すことが面倒になっていた。





「その様子だと、相当苦しかったよな。

愛ちゃん…。


ごめんな。」





「…べつに、あなたと私の病気は関わらないですから。」





先生にそう伝えてから、背を向けるようにして目を閉じた。





この人と関わってると、なんだか自分のペースが乱されて疲れる。





明日の朝、この人が目を覚ます前にここを抜け出そう。







それから、私は深い眠りに付いていたみたいで、気がつけば朝の7時を回っていた。






最近は、あまり眠れていなかった。





最悪だ…。





「愛ちゃん、おはよう。」





朝から元気に私に笑顔を向けてきた。






「うるさい…。」





朝が苦手な私は、先生にそう言葉にしていた。






「ごめん。

愛ちゃん、少し詳しい検査をしなければならないんだけど、体調の方はどうかな?」






「検査…。」





「そんな、緊張しなくて大丈夫。

肩の力を抜いて、前を向いてごらん。」





私は、先生の言われるままに顔を上げた。






「何が見えた?」





「え?」






「最初に、誰が見えた?」





「そんなの、ここには先生しかいないんだから…。」





「そうだよ。

愛ちゃんは、1人じゃない。俺もいるんだから1人で悩みや不安を抱えないで。」