頭の中が真っ白になった。


え…?確かいつも秘書の方が取りに来るよね…?
来れないにしてもなぜ名指し?
副社長なんてほとんど会ったことないのに…

もしかして…

私…何かやらかした…?
身に覚えがないけど苦情が届いたのかもしれない…

クビになったらどうしよう….…

行きたくないけど…行かなきゃだよね……


「わ…分かりました…行きます!」

「彩音ちゃん大丈夫??」

「西川彩音…逃げずに行きますとも!!」


みんなに見守られながらコーヒーとサンドイッチが入った紙袋を抱え、気合を入れて店を出た。

…けども…


「はぁぁ〜…」


副社長室に向かうエレベーターの中…

ため息しか出ない…

「15階の重役エリアなんて私行ったこともないよ…」

注文した品物は秘書の方が取りに来たり、たまーに手が離せなくてこちらから伺う時は店長が持って行くことがほとんどだから私たちカフェ店員が、会社のましてや重役エリアになんて足を踏み入れることなんて全くない。

「ウジウジ考えても仕方ない…!」

ポーン…
ついに来た…15階…

エレベーターを出ると赤い絨毯が敷いてあって、いかにも重役フロアーって感じがする…

すー…はー…

ドキドキうるさい心臓の音を軽く深呼吸して落ち着かせる。

「よしっ…」

いざ!!

副社長室へ!!