それでも私は、やっぱり笑顔で言ってやるんだ。



「おめでとう、れいっ」




「おー、さんきゅーな、なつのおかげだわ。」





あぁ、そろそろ涙が零れるかも…と思った瞬間、タイミングよく開けっ放しだった扉から声がした。




「玲斗(れいと)くん…っ、一緒帰ろ?」



「ゆりちゃん、ん、ちょっと待ってて」




れいは嬉しさのあまり零れ落ちた涙を慌てて拭うと百合沢さんに笑顔を向けた。




百合沢さんは、れいを玲斗くんと呼ぶ。


れいは、百合沢さんをゆりちゃんと呼ぶ。


私は、れいをれいと呼ぶ。



なんか、負けたなぁ、




そう思いながら、私は教室を出ていこうとする2人に慌てて言った。



「末永くお幸せにっ!」