「なっつ、いいの?」


杏乃ちゃん…百合沢さんのところへ走っていったれいを笑顔で見送った瞬間、話しかけたのは、友達のあき。


「んー?なにがー?」


次の授業はなんだっけ、と考えながら曖昧に笑う。



「牧野。」


「んー?れいがどしたー?」



私はあきをあきと呼ぶ。

あきは私をなっつと呼ぶ。

あきはれいを牧野と呼ぶ。




はぁっと、溜息をつきながらじとーっと横目で私を見るあき。


ごめんね、あき。


さすがにこれだけは言うわけにはいかないんだよ。


ごめん。