lost memory







「ここ?」





何度も間違いながらたどり着いた階段。

屋上、と矢印の紙が貼ってあるので間違いなさそう。







「うんしょ、」








点滴を両手で持ちながら一段一段上がる。



結構重いんやね、これ。

知らんかった。







「あー…着いた」







やっとの思いで着いた屋上。

外へと繋がる扉は開いていて。





一歩踏み出し外に出る。

、と。









「はあ?!嘘やろ?!」


「ひっ…!」







足だけ外に出ている状態から引っ込める。

なんだか出ては行けない気がして。



なになに?

なんか揉め事?








「嘘じゃない、記憶ないんですって」








男の声に答える女の声。



この声知ってる。

てか、え?

真美?







こそっと覗くけどたくさんシーツが干してあって真美の顔が見れない。

男の人も何人かいるっぽいけど…よく分からない。







「記憶ないって、どこからどこまで?」


「ここ半年のこと…全部」


「ほな俺らのことも忘れたってことけ?」


「…多分そうですね」








俺ら?

誰?









「おい怜!お前はどうすんねん!」








怜。

なんか聞いたことあるような。




あ!

さっき真美が知ってるか聞いた人や!








「…どうするもなにも、俺らはもう会ったらあかんのやろ」








どくんっ!






え…?

なに今の。



低く、悲しげな声。

胸が痛くなる。




こんな声聞いたの初めてなのに。

なんだろ、








「真美ちゃんかて思うやろ」


「そりゃあたしはゆあの親友やから」


「真美ちゃん!でも怜はな…!」


「あたしはもうゆあが傷付くとこ見たく
ないの!だから何も思い出して欲しくないしきっかけも与えたくない!」


「…悪かった、けど俺らは俺らの出来ることさせてもらうから」


「怜…」








もうここには居たくない。








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