「名前は?」
「宇佐見、ゆあ」
「年齢は?」
「…16」
「ふんふん、今は高校一年生?」
「はい」
高校生一年生。
そういうと真美のまたさっきの表情。
「西暦言える?」
「日付もですか?」
「言えるならね」
「20××年、12月7日?くらい?」
3日前寝てたとか言われたし日付はしっかりしたのは分からないけど。
ふんふん、と言いながら先生はカルテを閉じて。
「今は混乱しちゃうから徐々に話していくけど」
「?はい」
「ちょっと半年ほど記憶が抜けてるようやね」
「え?」
「とりあえず今日は落ち着いてゆっくり寝てください」
先生に諭されるように横になる。
看護師さんが薄い布団を掛けてくれて。
「親御さんは?家の番号分かる?」
「あー、えっと、」
「ゆ、ゆあの親は今旅行中なんです!」
先生の問いに答えようとしたとき、真美の遮る声。
びっくりして真美を見ると苦しそうな表情。
「そっかー、じゃあお友達着いていてくれる?」
「はい!」
「また何かあったらよろしくね」
そういい、先生と看護師さんは手を振りながら部屋から出ていく。
再び二人きりの部屋。
なんか、色々ありすぎて脳がついていかない。
「真美、」
「髪の毛くしゃくしゃになっちゃったね」
「え?ほんま?」
「直したげる!ほら鏡持って」
「ありがとう」
やっと笑顔になった真美を見て少しホッとする。
思わず私も微笑んで。
「うわ、なにこの髪色」
「え?」
「めっちゃ明るくなってるやん」
鏡に写る頬を隠すようなガーゼ。
目の横にも青くなったアザ。
そんなことよりも自分の髪色にびっくり。
確か暗めの茶髪だったはずなのに。
今は金に近い髪色。
「記憶がないって言ってはったもんな」
「ゆあ、」
「髪もなんや伸びてるし」
「…ほんまやね」
「でも、」
「ん?」
でも。
なんて言ったらいいか分からんけど。
「なんか頭の中すっきりしてる」
むしろ気分がいいのかも。
普通はもっと混乱してもいいのに。
なぜだかそれをすんなり受け入れてる。
無くした記憶を知りたい気持ちもあるけど。
「…あたしはよかったと思う」
「え?なに?」
「ううん!ほらっ、綺麗になったよ!」
「ありがとおーっ」
胸下まで伸びた髪。
ストレートになってすっきり。
…退院したらとりあえず髪染めよ。
せめてもう少し暗くしよう。
「なんか飲み物買ってる来るけどなにがいい?」
「んー、すっきりしたもの」
「了解っ」
じゃあねー、と真美は部屋から出ていく。
私は私でキョロキョロと周りを見始めた。
.

