そして、中二の五月。今は和泉とは親友って感じだ。
順調に優等生を続けて、合計点で和泉を越えることもあった。五教科以外はからっきしで、和泉に勝てる気がしないってところが厳しい。和泉に見下ろされている気がする。

私は特に仲が悪い子もいない。上手くやっている。けど、和泉は一部の男子に嫌われている。ストラップを触ろうとした男子も含まれている。
やばそうだなと思ったら、私は火が大きくなる前に消していた。大きな問題は無い……はず。

「誰か答えてくれるかなー?いないか、じゃ、吾妻さん」

今は国語の授業。容器、備蓄、片道を読めと言われている。楽勝だ。

「よううつわ、そなちく、かたみち、です!」

「いつもそんな風に言ってるの?正解は、ようき、びちく、かたみち、です」

先生は呆れ返っていた。私は何度注意されても直さなかった。
和泉は頭がフワフワした子をよくいじる。だから、私も自己流のボケで頑張っている。

しかし国語の授業だけこんなことをしているから、国語の成績が下がりそうだ。天然のものでもないから、和泉は、またやってるんだなくらいしか言わない。

頭がフワフワした子に負けたくない!私は和泉のことばかり考えているから、和泉の頭も私で埋め尽くしたい。

「華菜は怖いもの知らずだな」

「まあねー」

これくらいしか言えない自分も嫌だ。可愛くない。可愛くなかったら恋愛対象にならない。

開幕でぶちかました私の武器は効果がなかった。次は体育か……苦手だなぁ。

あっでも、チャンスかもしれない!

体育では普通の女子だ。頭ではどうすればいいかわかってる。先生のアドバイス通りにすれば良い。けど、力が追い付かない。

「あー疲れたぁ」

「お疲れー」

友達の幸が頭をポンポンする。

「苦手でも……頑張ったな。」

後ろから、不意うちだった。

「そっそーだよー!和泉に負けてられないし!」

何でこうなるんだろう。素直にありがとうって言えない。
でも、嬉しかったよ。