「優那は今までのデートは何処に行った事がある?」


煌君が私を助手席に乗せ 運転席に座りながら私に聞く。それと共に流れるような動きで シートベルトを装着してくれる。

静かに車は動き出して───


「私ほぼ最近まで 男の人と出歩いたりした事もないから…デートっていうのがないかな。

ご飯を食べたりした事はあるんだけど…だから、デートってわかんない。」


「なるほど。優那はデート初心者だな…。クスッ」

「もう、煌君はイケメンでモテるからデートなんて死ぬ程行った事があるからって笑わないで!」

むくれて 顔を左側にプイっとする…

「優那ごめん、俺さ初恋の子とデートするっていうだけでもヤバいのに、その子がデート余りした事ないとか マジ嬉しくって///」


横顔の煌君の耳が赤いとか、どんだけ照れてるの?


「本当に?煌君でもヤバいとかあるのが信じられないけど?私にはわからない世界だからね。今日は 何処に行くの?」


「優那が喜ぶ顔が見れる場所、もうすぐ着くから楽しみにしてて…」

恋愛マスターの煌君のいう素敵な場所はどこだかわからないけど、私は一呼吸ついて、車から降りたらしようと思っていることを、脳内でイメージした。

大丈夫かどうかは 神様でもわからないと思うけど、今日私は自分の線を越える勇気を心に詰めて来たんだ…