会わない確率なんかなかったんだ。
入り口で既に会っていたなんて…。
これはどういう事なのかな?

「深町さん体調が大丈夫でしたら こちらの席にお座り頂けますか?」

スマートな所作で私を促してくれる若い副社長に 恐縮しながら席に座った。だけど まだ私の動揺は半端なく続いていて…

「大切な商談の時間を、すみませんでした。」

「いえ、もう話は終わりましたので大丈夫です。」

「うちの秘書の久遠、いや煌と幼なじみとは 驚きました。私は煌と家族ぐるみでの付き合いでありまして、よく小さい頃から家に久遠が遊びに来ていたんですよ。」

「初めまして。私専務の 小鳥遊寧々と申します。副社長が私の兄で、煌さんに小さい時、よく私苛められていたんですよ。もしかして 煌さんはあなたも苛めていたのでは? 」

「煌君は 私にかなり意地悪だったと思います。その頃から、男の子が怖いですし 避けていました。」

「あいつ、今でもかなりのSです。 小さい時から 変わらない性格なんですね…」

「御社で働いていると聞いてたんですけど、会うとは思っていませんでした。

かれこれ避けて10年以上経っていますし、少し私 今でも動揺しています。」


「そうですか…これからの商談時には 煌は見えない様に対処致しますので、どうかよろしくお願い致します。」


名刺交換を副社長と専務と無事に済ませ、碧斗と二人 小鳥遊Co.を後にした。