部に帰って直ぐに 課長に呼ばれる。


「会議室に来てくれ。」

「はい。わかりました。」


心配そうに見ている部内の人達。
会議室に入ると


「今日は悪かった!」


といきなり謝る課長に驚く。


「確かに 連絡のツールを断たれるのは止めて欲しいです。せめてスケジュールは教えて欲しいです。」


「いや、そうじゃない…」


え?そうじゃない?何が?


「俺のプライベートな事で、優那を困らせて 混乱させたんだ。悪かった。」

「今は仕事の話をしないんですか?」

「いや、そうだな。この場で話す事じゃない。今日は定時後に俺との時間を作ってくれないか?」

「いやです。とは言わせないんですよね?」

「ああ、約束を取り付けるまでは、仕事ができそうにないな…」


悪い顔で笑う 綺麗な顔の人…
狡い…
クスクス笑いながら、こっちを見るとか 策士は考える事の計算が巧み過ぎて ついていけない。


「もう わかりました。碧斗ちゃんと仕事して下さい。仮にもあなたは私の上司なんですからね。」

「ハハ。可愛い部下の頼みは ちゃんと聞き入れないとな…。今から外出する。行く用意をしてくれ。」

さっきとは違う 柔らかい笑顔の上司の顔をされたにも関わらず キュンとなる心…

ドキドキ…また心臓が勝手に私の意思とは違う動きに焦りながら、動揺する気持ちに蓋をして、会議室を出たのであった。