対照的だと思ってた

「え〜、そうなんですか〜?」


「それで部下がやめちゃってさぁ〜……」


にこにこと微笑みながら客の話を聞く。


ぶっちゃけ面白くない人は相槌を打つだけ。


この店ではわたしはマナカという名前で働いている。


「そうだ、マナカちゃん、」


隣に座る中年男性に名前を呼ばれた。


「はい?」


真向かいに座る客の煙草に火を付けてあげながらこたえる。


「いつ、ヤらせてくれるのさぁ」


「えー、柳田さんったらそればっかり〜」


「いいじゃん、僕もうマナカちゃんにメロメロだよ」


このようなことは言われ慣れてるとはいえ、迷惑ではある。


ましてや、そんな男性の薬指にはリングが光っている。


「ね、マナカちゃんにも指名たくさんするからさ」


「ん〜、どうしよっかなぁ〜」


悪女のようににんまりと笑う。


こんな所で綺麗な恋愛なんてできるわけない。


他の客も、わたしのことを好きって言うけど、どこが好きなんだろう。


「マナカちゃん、ご指名ですよ」


「はい。じゃあ、柳田さん、またあとでね」


ボーイに呼ばれ、わたしは席を立った。


「マナカちゃん!」


「相変わらず美人だね〜」


見覚えのあるお客さん。


こんな夜が毎日のように続くわたしの生活。


日菜や、学校の友達はカラオケとかでも行ってるんだろうか。


いや、もう寝てる時間かもしれないな。


でも今日は特別な日だったな。


些細なことだったのに。


わたしって案外単純なのかもなあ。


「マナカちゃん、飲まないの?」


「ん〜、わたしはいいかなぁ。ほら、河内さん飲んでっ!」


笑顔でグラスにワインを注ぐ。


煙草にお酒。スーツの男性にドレスの女性。


やっぱり普通じゃないことだ。


「マナカちゃんは本当に美人だよ」


「そんなことないですよ」


「なに言ってるの!高校時代とかモテモテだったでしょ!」


ガヤガヤとわたしを囲むように寄ってくる男達。


「そうですね〜。まぁ、それなりですよぉ〜!」


「お〜!やっぱり!」


「可愛い顔してるもんな!」


「黒髪似合うしな!」


なんて楽しげに会話を交わす。


本当になにやってるんだろう、わたしは。