「……まさかあの時先生が来るとは思わなかったよね!」


「ほんと。西嶺が虫にビビってうるさかったからだな」


「ちがう、ちがう!真宮だって気持ち悪いって言ってたじゃん!」


いつもの帰り道。


話が弾むせいか、最近家までの道が短く感じてきた。


時々、一緒に授業をサボったりしている。


日菜と梨華、真宮とその友達の河口とお昼ごはんをたべることもある。


それもすごい楽しくて、充実してるなって思う!


「だって、あの虫は特別気持ち悪かったし…、」


もうすぐうちに着く、というところで


「あれ。マナカちゃん?」


と、向かいから歩いて来たスーツの人に声を掛けられた。


「どうも…」


彼はバイト先でボーイをしている人だった。


「いいね。彼氏かな」


にこにこと微笑みながら歩み寄ってくる。


「いえ。友達ですよ」


バイト中のような笑顔で返す。


「そうなんだ。じゃあ、今日もバイトの時に会おうね」


「はい。お疲れ様です」


煙草の火を消しながらお店に戻っていった。


「バイト先の人だったんだ」


「顔は恐いけどね。お酒の名前とか教えてもらってるの」


ちゃんと覚えて、お客さんとも楽しく会話できるように。


「そうなんだ。でも気をつけてね。最近、変質者多いらしいし。この辺も安全かわかんないから」


「ありがとう。真宮こそ気をつけて帰ってね」


「うん。じゃあバイト頑張って」


「もちろん!ありがとう」


真宮を見送り、家に入る。


変質者ね…。


そういえばバイトの休憩中に先輩たちも言ってたなぁ。


こわいけど…。


一人暮らしなわけだし、最低限、自分の身は自分で守らないと。


ここら辺でそんなこと起こらないと思うけど…。


注意しないと!