「西嶺。遅刻して早々だけど今日日直だからな」


「はーい。わかりましたー」


普段通り2時間目から来て、廊下で担任の松田先生に呼び止められた。


日直か…。日直は2人だしまぁ楽でしょ。




「えーるー!遅い!!」


「いつも通りじゃん、日菜」


教室に入るなり中学からの友達、日菜が抱きついてきた。


日菜の明るい髪が眩しい。


「てか日菜ぁ、わたし今日日直なんだけど」


「なにそれ、やばー!でも、真宮とじゃん」


まみや?


日菜が隣を指差した。

それにつられてちらっと隣の席をみる。

いかにも真面目って感じ…。


「真宮〜!えると日直なんだよー!!よろこべ!」


と言って日菜は真宮の顔を覗き込んだ。


真宮は私達を一瞥すると


「西嶺?よろしく」


と言い、机から取り出した日誌を渡してきた。


書けってことか。


「了解。じゃあ、真宮が黒板やっといてね」


はぁ。
この人笑わないしこわいんだけど…。


わたしとか日菜、きらいなんだろーな。


チャイムが鳴り、席に座る。


って、いつの間にか真宮いないし。


あーあ、バイトから直行で来て眠すぎ…。


せめてこの派手派手メイクは落としたかったなぁ…。


教科書を出したところで睡魔が襲ってきた。


やばい、現国の梅田だし最悪。




「保健室、いってきます!!」




そのまま教室を飛び出す。


おとなしく保健室行ったらおこられそうだし玄関あたりで寝てよ。


てくてくと1階へ行くと煙草独特の臭いがしてきた。


ここは別に頭の良い学校ではない。


寧ろ、県内ではおバカ高で有名。


煙草吸ったり、髪染めたり、停学、退学、留年、とかが他の高校より多い。


でもそんな不良以外の生徒だっている。


それこそ真宮とか。


わたしを不良というならば正反対の真宮はそれ以外。


だからまぁ、こんな風に煙草の臭いがするわけだ。


どうせ授業サボった先輩とかだろーけど。


特に先輩などを気にせず玄関にあるイスへ向かう。


そこで寝るってわけ。


「……ん?」


人影。