樹音たちが部屋を出て
私と樹音のお父さんだけが残った
…この人は何かに気づいている
直感だが
私はそう思った
「逢崎とは母方の名前かな」
「……母をご存じで」
「いや、君の父と幼馴染だからある程度の情報をね」
あいつの知り合いか…
「だけど、もう連絡は取ってないよ」
「……あなたは、、」
「少なくとも今はどちらの見方でもないよ」
……そうだよね
急に来た私なんて
「だから、君のこと知りたいな」
今は…
時間がないんだ
それに樹音たちが聴いてるかもしれない
「樹音たちなら心配はいらないよ」
えっ…
「きっと今は樹音の部屋にいるだろうからね」
ここからは遠いからね、
と付け加えていった
「少しだけでもいいから教えてもらえるかな」
この人は
きっといい人なんだな
少しぐらいなら
……信じてもいいかな
「……私は、今までいない存在として育てられました」

