「あははっ」



急に笑い出した、なに、こいつ。



「私とおんなじ」




ドキッとする柔らかい笑顔で言うから、不覚にも鼓動を速めてしまった。




「なに、お前も傘ないの」




「〝傘がない〟んじゃなくて、私は〝傘がいらない〟の。へへっ」




相変わらずの笑顔で、全く俺には理解できないことを話し始めるこいつ。




「へぇ」




適当に相槌を打つと、また嬉しそうに笑った。



そして、こう言ったんだ。



「私、君のことずっと前から知ってるよ」ってね。