「あいつが?」

「そう、その方も」


再び携帯電話を眺めたままの彼を見て、リリィは彼に優しく言いました


「あなたは、彼女の事が好きなのね」


そういうと、彼の顔に少し赤みが加わりました

幾冊もの本を読んできたリリィにはそれが彼の答えだという事がよく分かりました


「そうなのね」


リリィの優しい声が、月に照らされた公園に静かに響きました