「す、すみません、通してください……」

かき消される声。

おばさまたちの喧騒がやばい!

っていうか誠也くんなんであんなすいすい歩いていけるの!?

絶対迷子になるやつだ……。

絶望を感じていると、

グイッ……

突然引っ張られてぽすっと倒れたのは

「せ、誠也くんっ……」

誠也くんの腕の中。

「結良。
……思ったよりとろいな」

ガーーーーン……

せ、誠也くんにとろいって言われるとは……。

いや、事実なんだけど……。

どんな顔をしていたのか、

私の反応を見てくくっと笑う誠也くん。

「冗談だ。
引っ張ってやるから、これならついて来れそうか?」

「う、うん」