「まあ謝礼ならもらってやるよ」

「それ言うから台無しなんだってば……」

「ああ?」

「なんでもないですー」

そんなくだらないやりとりをしながらも

やはりどこか心が温かくて。

ほんとは優しいんだな、千紘って。

……まあすっごいわかりにくいけど。

私はそれから、

紗里さんが夕食に呼びに来るまでの少しの間

千紘と言い合いを繰り返していた。