「俺と一緒に帰りたいの?」
「?!」
いたずらっぽく笑う顔は、昔の健ちゃんの姿そのものだった。
ていうか、こんなこと言うような人だったけ……?
「みい〜?聞いてる?」
「うわっ!!」
顔近いっ!!!!
急に健ちゃんの顔がドアップで写って
反射的に後ろに仰け反る。
「き、聞いてる聞いてる!!!」
「俺もう帰りたいんだけど」
なら1人で帰ればよくない?
あ、私が引き止めたのか。
いつの間にか教室には私達だけしかいなかった。
しまった。
教室の鍵職員室に届けなきゃ。
「健ちゃんごめん。私教室の鍵置いてくるね。また明日ね!バイバイ」
健ちゃんの返事を聞かずにすぐ鍵を閉めて
廊下を走った。

