「ん……」


重くて開きにくい瞼を少し上げてみれば、辺りは薄暗くて、夜だな…と思った。


それならもう少し寝ようと寝返りを打ち、反動でだらりとなった腕の先に何かがぶつかる。

柔らかくて毛のような感触がしたからマルコだな。



「ん…マルコ、ごめん…」


謝りながら睡魔に引き込まれそうになる。

だけど、意識の片隅から聞こえてきた声で、その眠気はぶっ飛んだ。



「誰がマルコだ。俺はネコじゃないぞ」


頭の方から聞こえ、(んっ?)と意識が戻ってくる。

何処かで聞いたことのあるような気がして、誰だっけ…と目を開けた。



「起きたか」


安心する様な声の主は口角を少し上げる。スッと伸びた鼻筋が綺麗でカッコいいな…と、ボーとしたまま考えた。




(ハッ!!)


ガバッと体を起こしてみると、目の前にいる男性は白いバスローブ姿で、その胸元は少し乱れてて顔よりも色褪せた肌が覗いてる。


引き締まった胸元に目を釘付けにしながら、えっ?えっ?…と狼狽えた。



「何を焦ってるんだ」