慣れない英語での電話対応と経費処理に追われた週末、私は不満げな顔でレストランの椅子に座ってた。

目の前にいる男性は涼しい表情でワインを選び、グラスで…と注文してる。


「あのー…」


ワインなんて飲む気分じゃないんだけど…と、口を挟もうかと思ったけど、相手もボーイさんも料理の話をしていて、まるで聞く耳を持つ雰囲気ではない。


無視なの!?とますます不満そうに頬を膨らませる私に気づき、向かい側から声がかかった。



「そんな顔するなよ。美人も台無しになるぞ」


明らかなお世辞にゾッとして、何言ってんの…と声を漏らす。


「私は貴方に話があると言っただけなのよ?なのに、どうしてこんなお店に来るの?」


クラシカルな雰囲気の店内を眺め、窓の外に散らばる街の灯りに目を向ける。


「そりゃジジイが勝手に予約を入れたからだろ。キャンセルなんてしたら申し訳ないじゃないか」


そっちの都合なの!?と言い返し、「迷惑」と一言呟く。

目の前にいる小早川一路と食事をする羽目になったのは何故か、それは今朝の一コマが関係する。