「……ん?」


急に背中が重くなって振り返ると、わあわあと子供みたいに泣いてた女が泣き疲れて眠り込んでる。



「…おい、大丈夫か?」


向きを変えようとすると前に倒れてきて、それを支えると意外にも重い。


「おーい、またかよ」


この間は酔い潰れて、今夜は泣き疲れて眠るとかアリか。


「全く、どこまでガキなんだ、こいつ」


腿の上に乗ってきた猫のように眠る顔を見て呟いた。
メイクもはげてボロボロなんだけど、どこか妙に可愛さがある。



「…色々と辛かったな。……明里」


名前を呼びながら頬に残った涙の跡を擦った。
眠ってる彼女は猫のように伏せた目を細め、祐司さん…と声を発した。


「馬鹿野郎。俺はあんな口先だけの男じゃねえって言っただろうが」


一緒にすんなとボヤいてたら梶さんが来て、泣き声みたいなのが聞こえたけど何かあったのかと言いつつ部屋の中に入ってポカンとした。



「……この子また寝たのか?」


もしかして、飲ませた?と聞くから、まさか…と答えて苦笑した。


「あーあ、また部屋までお姫様抱っこだよ。案外に重いのに」