…ジリ!バシッ

「・・・」

日曜の朝6時半。
消したはずの目覚ましが何故かいつも付いていて、ほぼ毎日6時半に起きるからいつも一回目のベルで止められる。

それにしてもなんの嫌がらせなんだろう。
日曜日ぐらいもっと寝たいのに。
理由がわかるだけにイライラすることも出来なくて、寝返りをうって長い息と一緒に少しの鬱陶しさを吐き出す。

もう一度寝直そうと体勢を直すと伸びてきた手に引き寄せられ、足が絡み大好きな匂いに包まれる。
それでまた体勢を直すと髪にかかる寝息。

目は開けていないけど触れたり気配だったり温もりだったり隣にいられる幸せを感じる瞬間もこの時。
全部が嫌なわけじゃなくて嬉しい事もあるんだけど、時間は考えて欲しいと毎週思う。

彼の匂いに包まれてもう一度眠りにつこうと擦り寄ると「起きないの?」とくすくす笑う声。
なんで笑うんだろう…と思いながらも今日は寝る!と心に決めて狸寝入り。
が、出来るわけもなくて。

「おはよう」

少し体を起こした彼からの目覚めのキスに目を開けずにはいられないわけで。
薄っすらと目を開けて軽く不機嫌な顔をして「おはよう」と返す。

狭い視界から見えたのはあたしを見下ろす優しい顔。
そんな顔に朝から文句を言いたくはないけど、たまにはゆっくりした朝もほしい。

「別に朝の6時半に起こさなくてもいいんじゃない?」
「ベル一回目で止めてるけど」
「…日曜日くらいゆっくりしようよ」
「ベルなる前に起きてるくせに」

自分の頭を置いてた手が私の頭の下に移動して、さらに距離が近くなる。

「眠いよ…」
「俺は目が覚めた」

そう言って抱きしめられる。
だからって毎週わざと目覚ましセットして起こさなくてもいいと思うのは私だけじゃないと思う。
でもそのおかげで朝早く起きて長い日曜日を一緒に過ごせてるのは幸せな事実。

怒る理由にならないことをわかってしてるのか、計算高い彼の頭の中はわからないけど、普段甘えない唯一の我儘に逆らえるわけもなく、私が体を起こすと嬉しそうにするのもまた幸せで。

おはようのキスを合図に幸せな長い日曜日が始まる。




…end.