…ジリリリリッ…ジリリリリッ…
目覚ましが響く朝。
週末に向けて長くなるベル。
止まりそうにないから体を起こし、隣で眠る彼女の向こう側にある目覚ましを止める。
布団に潜っている彼女を起こすために布団をめくる。
幸せそうに自分にひっついて眠る彼女。
何度見ても幸せを感じる瞬間。
寝かせたまま可愛い寝顔を眺めていたいけどお互い仕事がある。
気が済むまで眺めてから彼女に声を掛ける。
「朝だぞ、起きろ」
声を掛けるだけで起きるわけないけど、とりあえず一度目はいつもこれから始まる。
「起きろって。遅刻するぞ」
頬を撫でるとまだ夢心地の彼女が寝返りをうち、背を向けて再び夢の中に入ろうとする。
それを引き止めるにはいつものあれをする。
彼女の顔にかかる髪をよけて彼女の誕生石のピアスが光る耳元へ近づく。
「起きろ。でないと、」
「…わかったから耳元で話さないで」
手で耳を押さえて小さくなり、眠そうな目で俺を睨む。
睨んだ顔もまた可愛くて手をよけて耳元へキスをすると体を起こして「やめてってばっ」と怒られる。
「おはよう」
「何度も言うけど起こし方が…」
「おはよう」
「…おはよう」
呆れた顔も可愛いけどどうせ見るなら可愛い笑顔が見たい。
それか…彼女を引き寄せ抱きしめると彼女は慌てて離れようとする。
「ちょっと!今日早いんじゃなかった?!」
「そうだな」
「だったら離れて準備してよ…っ」
希望通り真っ赤になる彼女に納得した俺はベッドから出て出勤の準備をする。
これが休みならこのままベッドでゴロゴロしていたい所だけど出来ないのが残念だ。
彼女は後から寝室を出てきて朝食の準備にかかる。
「朝ご飯は?」
「いらない」
「じゃあおにぎりでも作る」
そう言って彼女に構って時間がない俺に行きながら食べられるよう用意してくれる。
一人だと絶対食べない朝食も彼女がいれば必ず用意されて食べない日などない。
どんなに急いでいても必ず気遣ってくれる。
「ごめん、こんなのしか出来ないけど」
「ありがとう」
玄関まで見送りに来てくれる彼女は朝食のおにぎりと即席弁当を渡してくれた。
「じゃあ行ってくる」
「いってらっしゃい」
手を振ってくれる彼女。
今日も頑張ろうという気になる。
もう手放せない存在。
それにしてもたまに照れる顔を見るのもいいな、と常に冷静な彼女の可愛い顔を思い出して緩む頬を必死に堪えた。
…end