「何やってんだ、お前」
「...へ?」
振り向いたそこには
私のスカートと同じ、紺地に赤とブラウンのチェック柄のズボンを履く男の人がいた。
襟足の長い、少しクセのある髪の毛は綺麗な栗色で
春風に乗って、シトラス系の爽やかな香りがした。
「迷子かよ、だせーな」
「は!!?」
いきなり何なのこいつ! 初対面の女の子に向かって、「だせー」とは何事!?
キッとそいつを睨むと、返ってきたのは意外な一言だった。
「後ろ、乗れよ」
「......え?」
状況が理解できないよ。
どういうこと?
「チャリで行ったら間に合うかもしんねーだろ。だから乗れ」
半ば強引に手を引かれて、自転車の荷台に座らされる。
「ちゃんと掴まってろよ」
最初はゆっくり
徐々にスピードを上げて、自転車は走りだす。
信じられない。
私、知らない男の人とニケツしてるんだ...!
