嫌な予感に、 私の額から冷や汗がたらりと流れ、 首筋に落ちる。



「すーずーちゃん?」




心なしかいつもより低いその声に、 どうか寝起きだからという理由であってくれと切望した。



頭の中でキュイーンキュイーンと流れる危険信号をそのままに、 更に力強く右手を引っ張られ、 私は無理矢理振り向かせられた。



私の視界に、 顔だけ起き上がらせた金髪碧眼男が入る。 その深く青く透き通った瞳と目が合い、 私は「あ、 今日もダメなパターンだこれ。」と死を覚悟した。





「俺の寝ている隙に、 どこ行こうとしてんの。」




いつも通りの死んだ目で、 心なしか口元に笑みを滲ませ、 その金髪碧眼男______甘崎 朔(かんざき さく)はそう言った。




これは私にとってはもはや、 「逃がさねえぞ。」という副音声付きの死刑宣告である。





ああ、 神様。




私、 水原 鈴(みずはら すず)は___________前世でどんな大罪を犯したんですか。




そうじゃないなら、 ありえない。



入学してから1ヶ月間、 この男に________捕らわれている、 なんて。