「七島さん?聞いてますか?」
「あっ、はい!」
急いで席を立つ。
だけど、どのページの何行目かが全く分からない。
危機的すぎる。
どうしよう、その言葉が頭の中をぐるぐる回っていたとき、机を小さくトントンと叩く音が聞こえた。
その音の方を向くと、高瀬が小声で「120ページの18行目」と言っていた。
「あ、ありがとうっ!」(小声)
そのページを開き、やっと文章を声に出す。
「さりとて、ひたすらたはれたる方には……」
「はい、ありがとうございました。それではこの文章の説明を…」
あのときは頭が真っ白で何も考えられなかったけど、高瀬、私のこと助けてくれた…。
好き……。
今度はその言葉が頭を占領する。
もう好きだよ…高瀬!!!
これも、声に出して言えたらな…。
