突然、第二図書室の扉を開いて僕の名前を呼んだのは、知り合いとはいえない間柄の女性だった。女性の顔も名前も、言葉すら一度も交わしたことがない。勿論、見覚えもない。
栗色のボブカットで、薄すぎず濃すぎない化粧をし、うるうるとした垂れ目が特徴的である。ふっくらとした胸元と、もう少しで下着が見えてしまいそうな短いスカートから覗く太ももは、故意的に誘惑しているようにもみえる。
「ふふっ、陽翔くんに会えて嬉しいな。」
「えっと、あの・・・どちら様ですか。」
平然と言葉を交わすことを心掛けるが、手に汗が滲んだ。甘ったるい媚びたような女性の声がする度に、耳を塞ぎたくなる。立ち入り禁止の北校舎に、僕のような物好き以外が入ってくるはずがない。ましてや、誰も近付きたがらない第二図書室に、立ち入る訳がない。
ゆっくりと僕の方に一歩一歩と足を進める女性から、僕は一歩一歩と後ずさりをし、距離をとる。普通の男性であれば女性と二人きりの状況で、気持ちが高ぶるのだろうが、僕の場合は全く異なる意味で気持ちが高ぶる。
手足が小刻みに震え、女性との距離が縮まると全身に鳥肌が立つ。この女性は危険だと本能で感じ、危険信号のサイレンが脳内に鳴り響く。しかし、逃げ出したいのに足がすくむ。声を張り上げたいのに、恐怖で声すら出せない。
栗色のボブカットで、薄すぎず濃すぎない化粧をし、うるうるとした垂れ目が特徴的である。ふっくらとした胸元と、もう少しで下着が見えてしまいそうな短いスカートから覗く太ももは、故意的に誘惑しているようにもみえる。
「ふふっ、陽翔くんに会えて嬉しいな。」
「えっと、あの・・・どちら様ですか。」
平然と言葉を交わすことを心掛けるが、手に汗が滲んだ。甘ったるい媚びたような女性の声がする度に、耳を塞ぎたくなる。立ち入り禁止の北校舎に、僕のような物好き以外が入ってくるはずがない。ましてや、誰も近付きたがらない第二図書室に、立ち入る訳がない。
ゆっくりと僕の方に一歩一歩と足を進める女性から、僕は一歩一歩と後ずさりをし、距離をとる。普通の男性であれば女性と二人きりの状況で、気持ちが高ぶるのだろうが、僕の場合は全く異なる意味で気持ちが高ぶる。
手足が小刻みに震え、女性との距離が縮まると全身に鳥肌が立つ。この女性は危険だと本能で感じ、危険信号のサイレンが脳内に鳴り響く。しかし、逃げ出したいのに足がすくむ。声を張り上げたいのに、恐怖で声すら出せない。
