北校舎三階の第二図書室は、読書が好きな図書委員の僕にとって唯一、心が安らぐオアシスのような場所である。
歩くだけでもミシミシと音をたて、今にも床が抜けてしまいそうな第二図書室は、生徒達が立ち入らない場所としても有名だ。
近々、取り壊される予定である立ち入り禁止の北校舎は、かなりの腐敗が進んでおり、その不気味さから幽霊が出るという噂が流れるほどに薄暗い建物である。
そのような場所に何故、僕が一人でいるのかというと、第二図書室にズラリと並ぶ本棚に眠っている数多くの本を整理するためだ。
埃をかぶる分厚い本を一冊ずつ丁寧に扱い、指定されている本のみをダンボールに入れていく。全ての本を新設された南校舎の第一図書室に持っていきたいのだが、仕方がない。
北校舎が立ち入り禁止になっても、こっそりと第二図書室に忍び込み、放課後に本を読みふけっていた日々が酷く懐かしく感じる。
誰もいない北校舎、誰もいない第二図書室、そして、たった一人でせっせと本棚の整理をする僕。
僕のオアシスにはもう明日から立ち入ることが出来ないのだと、寂しさを噛み締めながら、本棚の整理を終えて、北校舎三階の第二図書室と最後の別れをする。・・・はずだった。
―――ガラッ
「見つけた、矢原陽翔(やはら はると)くん!」
「!?」
歩くだけでもミシミシと音をたて、今にも床が抜けてしまいそうな第二図書室は、生徒達が立ち入らない場所としても有名だ。
近々、取り壊される予定である立ち入り禁止の北校舎は、かなりの腐敗が進んでおり、その不気味さから幽霊が出るという噂が流れるほどに薄暗い建物である。
そのような場所に何故、僕が一人でいるのかというと、第二図書室にズラリと並ぶ本棚に眠っている数多くの本を整理するためだ。
埃をかぶる分厚い本を一冊ずつ丁寧に扱い、指定されている本のみをダンボールに入れていく。全ての本を新設された南校舎の第一図書室に持っていきたいのだが、仕方がない。
北校舎が立ち入り禁止になっても、こっそりと第二図書室に忍び込み、放課後に本を読みふけっていた日々が酷く懐かしく感じる。
誰もいない北校舎、誰もいない第二図書室、そして、たった一人でせっせと本棚の整理をする僕。
僕のオアシスにはもう明日から立ち入ることが出来ないのだと、寂しさを噛み締めながら、本棚の整理を終えて、北校舎三階の第二図書室と最後の別れをする。・・・はずだった。
―――ガラッ
「見つけた、矢原陽翔(やはら はると)くん!」
「!?」