・キミ以外欲しくない

社長に話していたことも、嘘ではなく。
段階を踏み、互いの気持ちが確認できたら、私を社長に紹介するつもりだったらしい。


「ただ、君が愛しくて。思わずキスしたことだけは謝る」

「え? あれは私の夢で……」

「現実だ」

「嘘、私をからかっているだけですよね?」


「なら、確認してみるか?」と言いながら、副社長の唇が近づいてきて。
重なり合う唇が、あの夜の感触を思い出させてくれた。
リアルな夢は夢ではなく、現実だったのだ。


「今夜は雪乃から一ミリも離れないけど、いい?」


そんなにハッキリと確認されたら、恥ずかしくて。
黙って頷くことしかできない。

「愛してる」と耳元で囁く副社長の吐息が、私を酔わせると。
引き寄せられ、再び唇を重ねる。


始まりは、仕組まれたのだったとしても。
あなたの優しさに触れ、あなたに恋をしたのは私。


「真司朗さん、好きです」


私も、あなた以外欲しくない。


【完】