・キミ以外欲しくない


副社長がベッドの脇に腰を掛けると、同じ目線の高さになった。
見つめられているだけなのに、今までで一番ドキドキしているのが分かるくらい、私の全てが副社長だけに向かっている。


「そんなに見つめられたら、触れたくなるだろ」と呟いた副社長の手が私の腕を取ると、抱き寄せられた。


今、耳に聞こえているのは副社長の鼓動?


ギュッと抱き締められ、副社長の胸に身体を預ける。
副社長の腕の中は思った以上に心地よくて、目を閉じた。


「雪乃のことは、前から知っていたと話したこと、覚えてるか?」

「はい」

「一年くらい前、偶然雪乃を見かけた時。俺は雪乃に一目惚れしていたんだ」


気分を入れ換えるため、新鮮な空気を吸いに屋上へやって来た副社長は、仕事が上手くいかずヘコんで悔し泣きをしていた私を見かけたらしいのだ。

独り言のようにブツブツと呟いていた私が、突然自分に渇を入れ。
一瞬で元気を取り戻す姿を見て、衝撃を受けたという。

その後も、私が仕事の補佐をしていた男性社員から、廊下で意味無く責められていた姿を目撃したこともあったらしい。