あまりにリアルな夢だったから、思い出すだけでも顔が火照ってきてしまう。
「何もなかったとしても、雪乃は副社長のことを好きでしょ?」
佳乃の鋭い指摘に、もはや反論の余地なしで。
……黙って頷いた。
私の応えを確認した佳乃は「ですって。よかったですね、副社長」と、リビングの方に向かい声をかけた。
「え?」
「ずっと隣の部屋に居て、私達の話を聞いてたのよ。副社長は」
「嘘でしょ!?」
驚く私の前に現れたのは、耳まで真っ赤にしている副社長だった。
「雪乃の体調も確認できたし、私は失礼します。後は副社長にお任せしますね」と、佳乃は副社長と交代するように部屋を出ていってしまった。
「ちょっと、佳乃?」
呼び止めた声が届かなかったのか、玄関の方ではドアがパタンと閉まる音が聞こえた。
部屋には棒立ちになり、私を見下ろしている副社長と、ベッドの中でどうしていいか分からない私の、二人が残されている。
暫しの沈黙が続き、先に話し出したのは私。
副社長に、どうして私によくしてくれるのか尋ねると、キュッと結ばれていた唇が、ゆっくりと語りだした。
「それは、俺が君と同じ気持ちだからだ」



