「雪乃、気分はどう?」
「ん、よく寝たから大分いいかな。……佳乃⁉」
目を覚ました時、私の顔を繁々と眺めていたのは副社長でなく佳乃だということを認識した私は、慌ててベッドから飛び起きた。
てっきり副社長だと思っていたから、動揺が隠せるわけがない。
しかもこっちは寝起きで、頭が回らないっていうのに。
そんな私に構うこと無く、佳乃は立ち上がると部屋の中を見渡し「へぇ、色々揃ってるねぇ」なんて感想を口にした。
「えっと、佳乃。どうして、ここに居るの? いつから居たの?」
「来たのは少し前よ。仕事帰りに寄らせてもらったの。あ、副社長は今出掛けてる」
「そう……なんだ」
どうしても歯切れが悪くなってしまう。
副社長の部屋に間借りしていることは、佳乃にさえ言っていなかったことで。
それが、こんな形で知られることになってしまった。
私との仲を疑い不信感を抱いた皆を前に、副社長が何と説明したのか分からないし。
その説明を聞いたであろう佳乃に対し、どう話せばいいのかも分からない。
戸惑う私をからかうように、佳乃は「心配しないで、副社長とのことは分かってるから」と言ったのだ。
「分かってるって、何を分かってるのよ? 副社長と私は別に何も」
「無いわけないよね? 昼間の副社長を見たら、誰だって分かるわよ」



