・キミ以外欲しくない


目を覚ますと、今では見慣れた部屋の天井が目に入る。
身体を起こし額に手を当てると、フルフルと頭を振りながら、なぜ私が部屋のベッドに寝て居たのかを思い出そうとした。


確か、今朝の会議の為に荷物を持って出勤したはず。
ロビーで顔を合わせた佳乃と、日高主任の関係に驚かされて。
会議を進行していて、雑貨の説明をしていて……。

そうだ。
誰かに副社長と私が雑貨の買い出しをしていたところを目撃され、仲を追及されたんだ!


「こんな所で寝てるなんて。社に戻って皆に説明しなきゃ」


ベッドから片足を下ろしかけた時、部屋のドアが静かに開いた。
心配そうに「目が覚めたか?」と顔を覗かせた副社長がベッドに歩み寄り、私の額に手を当てた。


「熱は下がったみたいだな。連日働き詰めで、疲れが溜まっていたんだろう。少し身体を休ませろ」

「でも、私」

「倒れるまで頑張り過ぎだ、会議のことなら心配するな。また後日改めることにしたから」


そうじゃなくて。
私が心配なのは、仕事の進行についてじゃない。
気が緩み倒れる前に、副社長が「説明する」と言っていたことなのに。


「仕事のことは忘れて、もう少し寝ろよ」と、ベッドの中に戻されてしまい。
伸びてきた手に頭を撫でられ、お決まりのように安心感に包まれて、目を瞑ってしまった。